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神戸家庭裁判所 昭和52年(少)3593号 決定 1977年10月24日

少年 O・I子(昭三六・二・二四生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

当裁判所が昭和五二年五月六日少年に対してなした、少年を神戸保護観察所の保護観察に付する旨の決定はこれを取り消す。

理由

(非行事実)

少年は虎犯事件により昭和五二年五月六日当裁判所において神戸保護観察所の保護観察に付するとの保護処分をうけた者であるが、それ以後も行状は一向に改まらず、

1  保護観察決定後直ちに喫茶店に就労したものの一個所に長続きせず、さしたる理由もなく店をやめては別の喫茶店に就労するという転職を繰り返し、それでも同年七月まではまがりなりにも仕事をしていたが、八月ころからは仕事もしないで無為徒遊し、

2  素行不良なA(二〇歳)と交際し、母の反対もかまわず同人を少年宅に泊めたり、同人と外泊したりし、

3  その他にも無断外泊を度々重ね、交友関係は極めて不良で、不純異性交遊もあり、

4  そのような不良交遊をするうちで金員に窮すると母に小遣銭を強要し、母が少年の度重なる小遣銭の要求をたしなめて渡さないと、全盲の母に対して暴言をはき、暴力を振い、或いは現金を勝手に持ち出し、

5  担当保護司とは五月末に最初の面接をしただけで、以後は担当保護司の熱意にも拘らず、全く接触を保とうとせず、むしろ忌避し、母や叔母の注意は全然聞き入れないで反抗する

という有様で、保護者の正当な監督に服さず、自己の徳性を害する行為をする性癖があり、正当の理由がなく家庭に寄り附かず、不道徳な人と交際しているもので、その性格(知能が低く、感情的で自己統制力に乏しい。)、環境(保護者は全盲の母だけである。)に照して、将来罪を犯す虞れがあるものである。

適条

少年法三条一項三号イ、ロ、ハ、ニ

(処遇の理由)

少年の非行は上記のとおりで、生活の乱れは激しく、殊に母に対する暴力は非人道的で悪質である。すでに在宅保護の限界を超えており、短期ながらも施設に収容して倫理観念の涵養をはかり、健康な生活態度を身につけさせる必要があると思料される。

よつて、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項を適用して少年を中等少年院(一般短期処遇)に送致することとし、前処分の保護観察処分は少年法二七条二項によりこれを取り消すことを相当と認め、主文のとおり決定する。

(裁判官 田中俊夫)

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